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東京2020大会からはじまる水素社会

東京オリンピックの17日間にわたる熱戦の幕が下りました。日本選手たちのめざましい活躍、その涙に胸があつくなりました。もちろん、賛否が分かれながらも開催され、感動だけでは収まらない、さまざまな思いをのこした大会でもありました。困難の多いなかで開かれた大会だからこそ、その意義を見出していきたいと思います。

水素社会の実現の契機に

政府は2020年10月、2050年までに「脱炭素化」を実現することを正式表明しています。そのための具体策を定めた「グリーン成長戦略」では二酸化炭素を排出しない「水素エネルギー」の活用を重点項目のひとつに掲げています。

みちよ

重要なキーワードである、水素エネルギーや水素社会については、以前も取り上げています。未見の方はぜひこちらから。

知る、学ぶ。「水素エネルギー」

今回の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でも、大会史上はじめて水素を活用し、聖火が灯されています。これこそ、国を挙げて水素社会実現への決意の象徴であり、世界へと向けたメッセージです。

また、聖火のほかにも、いたるところで水素活用の試みが行われていました。大会車両に水素が使われていたり、選手村の一部に水素発電の燃料電池が設置され照明や空調に利用されたようです。また、選手村は大会開催期間中だけでなく、大会後も整備し、レガシーとなるまちづくりに取り組むことが発表されています。

大会後のレガシーとなるまちづくりに向けて、都心から近く海に開かれた立地特性を生かして、子育てファミリー、 高齢者、外国人など多様な人々が交流し、いきいきと生活できるまちづくりを進めていきます。加えて、水素をまちのエネルギー利用として先導的に導入するなど、環境先進都市のモデルとなるまちの実現に向けた取組を推進していきます。

「選手村の整備(東京2020大会後のまちづくり) パンフレット>」まちづくりの概要より一部抜粋

今大会での水素活用の試みが、未来へ引き継がれる遺産になる。いつかの水素エネルギーが当たり前の未来につながっている。そう思うと感慨深い気持ちになりますね。

世界をリードしてきた日本の水素技術、これから。

エネルギー資源の乏しい日本だからこそ、磨き続けた水素エネルギー活用技術。日本の燃料電池分野の特許出願件数は世界1位で、2位以下の欧米をはじめとする各国と比べて5倍以上と諸外国を大きく引き離していることからも、世界をリードしてきたといっても過言ではなさそうです。
現在は「脱炭素化」が世界的な潮流になり、各国でさまざまな取り組みが行われています。石炭や石油などの化石燃料とちがい、二酸化炭素が発生しないクリーンエネルギーは世界共通課題です。その有力な選択肢である水素エネルギーは、日本だけでなく、世界的に注目度の高いものに。水素と酸素を反応させてできた電力を利用して走行する燃料電池自動車(FCV)や、ガスに含まれる水素を利用して発電すると同時に、発熱を利用して給湯を行う家庭用燃料電池など、今後も需要拡大が期待されています。現時点ではまだ経済的にも技術的にも実現まで超えるべき課題が多いものの、世界と切磋琢磨しながら、いちはやく日本が水素社会を実現できることを期待したいと思います。

この記事を書いた人:みちよ

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