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実験レポート・太陽光発電設備の自立運転中にどのくらいの家電が使えるか

非常時に助かる太陽光発電の自立運転機能はどれだけ心強い備えなのか。弊社の設備(パネル容量5.5kW、パワーコンディショナー容量4.5kW、家庭用電化製品数点)を使用し、自立運転モードでどの程度の電気が使えるのかを調べてみました。その結果、「意外と使える!」ということがわかりました。

自立運転時の上限は1500W

住宅用太陽光発電設備には「自立運転」という便利な機能があります。日照があれば、つまり発電さえできれば電気を使うことができるものです。
停電時に活躍! 住宅用太陽光発電の自立運転機能|エネクリップ記事

ただし使い放題というわけではありません。一般的に、自立運転中に使用できる電力の上限は1500Wです。しかも日照が少なければ1500Wも使えない場合もあります。

かんまり

1500Wってどれくらい?

とても大きな数字のようにも聞こえるけれど、想像するのが難しい「1500W」という値。そこで実際に自立運転機能を起動させ、どれだけの電化製品が使えるか実験を行いました。

使用した電化製品は以下の通り
・スマホ充電器
・扇風機
・冷蔵庫
・ドライヤー
・電子レンジ

   実際に使用した機器

また、実験を行った日は下の写真のような天候でした。曇りですがある程度の日照がありました。

冷蔵庫と携帯の充電くらいだと予想していました

冷蔵庫は大きいのでたくさんの電力を消費しそう。携帯の充電はそんなに消費しないかな……。など、実験スタート前に立てた予想をまとめると

かんまり

1、2台の家電しか使えなさそう。
でも冷蔵庫が動けば十分かな

でした。※このあと予想以上のことが起こりました。

実験スタート

自立運転に切り替えました。弊社の専用コンセントはモニターの横に設置されています。

切り替え操作方法についてはこちらの記事をご覧ください。
停電時に活躍! 住宅用太陽光発電の自立運転機能|エネクリップ記事

まずはスマホ充電から

専用コンセントに延長コードをつなぎ、まずはスマホ充電にチャレンジ。連絡を取ったり情報収集したりするのに欠かせないツールです。果たして充電できるのか。

充電できていることを確認! どんどんいきます。

扇風機を投入

スマホ充電しながら扇風機のスイッチをオン。夏の停電時、扇風機は使えてほしい・・・。

見事に回り始めました。

絶対使いたい! 冷蔵庫

停電すると困る家電(おそらく)第1位の冷蔵庫。大きな機器なだけに、いっきに電力を消費しそうなイメージです。スマホ充電+扇風機+冷蔵庫は使えるでしょうか。どうか動いてください!

動いています! 先に種明かしをすると弊社の冷蔵庫は特に消費電力が少ないタイプで、わずか79W。後述しますが冷蔵庫の消費電力は150~500Wと言われています。

かんまり

もっと消費すると思っていました。これはうれしい誤算

ここで気持ちがザワザワし始めます。まさか……用意した製品全部使えちゃう?

ドライヤー追加

停電時にどうしても使いたいものではないかもしれませんが、ドライヤーを追加してみます。

   注)写真はイメージです

なんということでしょう、使えました。準備していた機器をこの時点で使い切ってしまいました。

ほかに家電はないか!?

これはいけるか!? 電子レンジ

ありました。休憩室の電子レンジです。

スマホ充電+扇風機+冷蔵庫+ドライヤーを動かしながら、500Wにセットした電子レンジのスイッチをオン。

扇風機が止まりました! ほかの機器も調べてみると、すべての家電が停止しました。
1500Wをオーバーしたということです。

モニターにも上限を超えたことを知らせるメッセージが表示されています。

実験のまとめ

今回使用した製品の消費電力は以下の通りです。※弊社設備の場合です。

・スマホ充電 15W
・扇風機 46W
・冷蔵庫 79W
・ドライヤー 1200W
・電子レンジ 500W

実験の結果、予想していたよりも多くの製品を使うことができました。
合計1500W以内であれば使用できるので、
➊スマホ充電+扇風機+冷蔵庫+ドライヤー(計1340W)
の組み合わせ以外に
➋スマホ充電+扇風機+冷蔵庫+電子レンジ(計640W)
も使えそうです。➋の場合はまだまだ余裕すらありますね。

ただし、日照が少なければ1500Wも使えません。停電時に慌てることがないよう、自立運転の切り替え方法の事前確認と、切り替え後に最低限使用する機器をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

以下は家電の消費電力の平均的な目安です。製品ごとに異なりますので、ご自宅の製品をご確認ください。
・電子レンジ 500~1000W
・エアコン 300~2000W
・液晶テレビ 300~500W
・冷蔵庫 150~500W
・扇風機 50~60W
・ファンヒーター 10~450W

自立運転中に使えない家電、注意すべき家電

200Vの製品は使えない

自立運転時に使える製品は100V規格に限られています。家庭用の電化製品はもともと100Vが基本ですが、一部には200V規格のものがあります。それらの機器は自立運転時の使用はできません。例えば一部のエアコンやIHクッキングヒーターが当てはまります。

100Vと200Vの機器はコンセント自体の形状が異なります。誤って200Vの製品を接続してしまう可能性は低いのでご安心ください。

かんまり

蓄電池であれば自立運転時に200Vタイプが使えるものもあるようです

電源ONで大きな電流が流れる製品は動きが不安定になることが

液晶テレビ、ドライヤー、洗濯機、掃除機、冷蔵庫などモーターで動作する機器の中には、電源を投入したときに大電流が流れて動作が不安定になるものがあります。

突然電源が落ちて困るものは使用しないように

デスクトップ型のパソコンのように、突然電源が切断されると故障する可能性がある機器は使用を控えましょう。生命維持のための医療機器も自立運転での使用は避けたほうがいいでしょう。

太陽光発電は日照条件の影響を受けやすいシステムです。非常時でも天候や時間帯、使用したい機器の条件をもとに、冷静に対応できるように備えておきましょう。

この記事を書いた人:かんまり

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