ホーム エネルギー ロシア軍ウクライナ侵攻から見える、日本のエネルギー事情

ロシア軍ウクライナ侵攻から見える、日本のエネルギー事情

冬季オリンピック大会が閉幕したと思ったら、一気に加速したウクライナ情勢。毎日のニュースを伝える画面からも、緊迫が伝わってきます。ロシアとウクライナ、ヨーロッパ、米国の動きが目立っていますが、日本も決して他人事ではありません。今回は「エネルギーの安定供給」という点から、私たちの日々の暮らしにどのような影響があるのか見ていきます。

【最新NEWS】2022年2月21日、ロシアのプーチン大統領が、実質的に支配しているウクライナ東部の地域を「独立国家」として承認。2月24日、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻、ロシア国防省は80以上の施設を攻撃したと発表しました。日本は国際法違反とロシアを厳しく非難し、追加制裁を決定しました。※この記事は2022年2月25日に書いています

ウクライナ情勢が緊迫しているのはなぜ?

ウクライナってどんな国?

ウクライナはかつては旧ソビエト連邦のひとつでした。旧ソ連崩壊後の1991年に独立しています。東はロシア、西は欧州にはさまれた位置にあり、同じ国内でも東西で日常用語も文化も大きく異なります。独立してからも、親ロシア派と親欧米派で政権を競ってきたという複雑な歴史的背景があります。

発端はなに?

そもそものきっかけは2014年。ロシア寄りのヤヌコビッチ大統領(当時)の政治への反発が大きくなり政権は事実上崩壊、親欧米派の政権が誕生したことから。これを良しとしないロシアがウクライナのクリミア半島を武力で一方的に編入してしまいました(ロシア側は「住民の意向」とし占領とは認めていないようです)。15年に停戦合意を結んだものの紛争が止まず、自国防衛策としてウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟しようとしたところ、国境ラインにNATO勢力が近づくことに大きな危機感を覚えたロシアが猛反発。現在のウクライナ侵攻へとつながっています。

みちよ

NATOは旧ソ連に対抗するためにアメリカとイギリスを中心に生まれた軍事同盟。ロシアが嫌がるのもうなずけます。

●現在のNATO加盟国
アイスランド・アメリカ・イギリス・イタリア・オランダ・カナダ・デンマーク・ノルウェー・フランス・ベルギー・ポルトガル・ルクセンブルク(原加盟国、1949年)、ギリシャ・トルコ(1952年)、ドイツ(1955年※当時の西ドイツ)、スペイン(1982年)、チェコ・ハンガリー・ポーランド(1999年)、ブルガリア・エストニア・ラトビア・リトアニア・ルーマニア・スロバキア・スロベニア(2004年)、アルバニア・クロアチア(2009年)、モンテネグロ(2017年)、北マケドニア(2020年) ※全30か国、外務省サイト加盟国一覧より

みちよ

日本はNATOの加盟国ではありませんが、グローバル・パートナー国として貢献するとしています

ウクライナ危機が与える世界への影響

ロシアは豊富な天然ガス・石油・石炭をもった世界屈指の資源大国です。脱炭素化の進むヨーロッパでは特に天然ガスの需要が高く、その主な調達先がロシアです。EUでは輸入する天然ガスの4割をロシアに依存しています。欧米や各国が経済制裁措置を行った場合、ロシアが報復制裁として天然ガスの供給を絞るのではと言われています。そうなると連動して原油価格もアップ。世界的にエネルギー価格が高騰、原油を原材料とする製品のコストが上がり、物価が上がり、世界経済全体と私たちの暮らしにも大きなダメージがでてくることが懸念されています。

日本の対応とエネルギー供給への影響は?

日本政府は2022年2月23日にウクライナ情勢を受けて日本の対応を発表しています。今回の一連のロシアの動きを強く非難し経済制裁を行なっています。また同時に欧州の厳しいガス供給事情に対し日本の天然ガス余剰分を欧州に振り分けていると公表。原油価格が上昇局面にはあるが、国内には石油と天然ガスの十分な備蓄があり、現時点では国内のエネルギー安定供給に大きな支障はないと伝えています。

エネルギー安定供給のために

エネルギーをひとつの国やエリアに依存すると、その地域や国の政治情勢に大きく影響されます。日本では1970年代に起こった「オイルショック」が代表的な事例と言えます。安定的なエネルギーの供給のためにも、自国でのエネルギー調達、そしてやまとの使命でもある石油やガスに頼らない再エネの技術開発と普及が求められています。

日本のエネルギー事情について、もっと詳しく知りたい方はこちら!
みちよ

今回はエネルギーに関してにしぼりましたが、何よりも、一刻も早くウクライナに平穏が訪れることを切に願います

この記事を書いた人:みちよ

この記事をシェア!