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知る、学ぶ。
「風力発電」

風の力で風車を回転させ、その力を電力に変換することで発電する「風力発電」。再生可能エネルギーの主力のひとつです。
特に、ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国ではその傾向が顕著で、2027年にはヨーロッパで最大の電源になるという予測が報じられているほど。
日本はやや遅れをとっているものの、これからの有力な発電方法として大きな期待が寄せられています。
今回は、日本での風力発電の現状と、その課題を見ていきたいと思います。

日本での風量発電の現状は?

世界全体で風力発電導入量(2018年)は年間5400万kW、累計6億kWです。対して日本国内の累計導入量は365万kW。日本でも徐々に風力発電の普及が進んでいますが、2019年の日本国内の発電量全体に占める風力発電の割合は1%も満たしません。世界の再生エネルギーを牽引する主要国と比べると、低いと言わざるをえません。
2014年4月に策定した第4次エネルギー基本計画で定められた2030年の「エネルギーミックス」目標でも、風力発電の目標電源構成比率は、1.7%程度となっています。

みちよ

「エネルギーミックス(電源構成)」とは、特定の発電源に偏らず、複数の発電方法をバランスよく組み合わせ、安定して電気を作ることです。詳しくはこちらでも↓

知る、学ぶ。 「エネルギーミックス」とは?

実は2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により、風力発電設備は2030年のエネルギーミックスの見通しである「1,000万kW」にほぼ届いています。しかしながら、実際に稼働している風力発電でみる、導入量はまだまだ少ないのが現状です。
これを打破するためには、いくつか解決すべき課題があります。

風力発電の課題は?

風力発電を稼働させるためには、2つの課題があります。

1.発電コストが高い・維持が難しい
2.運転開始までのリードタイムが長い

1.発電コストが高い・維持が難しい
現在の日本の風力発電コストは世界平均の1.6倍もあると言われています。また運転開始後のメンテナンスの効率化や、保守運用をおこなう人材の育成も必要です。競争力のある電源となるために、安定的な発電システムの確立が求められています。

2.運転開始までのリードタイムが長い

7500kW以上の風力発電所の設置については、環境アセスメントの手続きが必要です。この手続きだけで通常3〜4年程度かかります。事前の調査から数えると、運転開始までに4〜7年程度もかかってしまうことが、稼働件数の少ない要因のひとつと考えられます。

これから期待される「洋上風力発電」

風力発電のなかでも「洋上風力発電」に注目が集まっています。陸上の風力発電は開発が進み適地が減少してきていますが、海域を利用した洋上風力発電は、海にかこまれた日本でこそ活きると有望視されています。
また、陸上風力発電と比べ、洋上では風の乱れが小さく安定的な発電が見込めます。景観・騒音への影響が小さく、土地や道路の制約もないので大型風車の導入が比較的容易というメリットもあります。
一方で、漁業や海域の環境への影響なども懸念されていることも事実です。
期待の大きい風力発電ですが、どのように利用していくか、どのような影響があるのか、私たち一人ひとりが継続的に考えていくことが必要です。

この記事を書いた人:みちよ

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