知る、学ぶ。
「エネルギーミックス」とは?
世界のエネルギー政策は「安全性(Safety)」を大原則とし、「安定供給(Energy Security)」「経済効率向上(Economic Efficiency)」「環境適合(Environment)」の3E+Sを満たすことを基本としています。
日本でももちろん同じですが、エネルギー資源の乏しい日本では、特に課題が山積みです。すべての面で万能なエネルギーはありません。そこで、ひとつのエネルギー源や発電方法にのみ頼るのではなく、さまざまなエネルギー源をバランス良く組み合わせた電源構成が重要になります。この電源構成のことを「エネルギーミックス」と呼びます。
エネルギーミックス について知るには、まずは「エネルギー基本計画」を知る必要があります。ポイントをおさえて、おさらいしていきます。
「エネルギー基本計画」ってなに?
国が定めるエネルギー政策の基本方針です。2002年に施行され、日々変化する世界のエネルギー情勢に対応しながら、少なくとも3年ごとに見直しを行うこととしています。
この方針の下、まず2030年に向けては、2030年のエネルギーの姿を示した「エネルギーミックス」の確実な実現を目指していきます。
2018年の改訂版である第5次エネルギー基本計画では、2030年度に温室効果ガスの26%削減、2050年までには80%削減するという脱炭素化の目標を掲げています。
具体的には、2030年の電源構成「LNG火力27%程度、石炭火力26%程度、再生可能エネルギー22〜24%程度、 原子力20〜22%程度、石油火力3%程度」を目指しており、2015年の決定内容が2018年も持ち越しになっています。
すでに2020年10月より第6次計画の議論が始まっており、2021年には公表される予定です。
第5次の計画のポイントは、2030年だけでなく、その先の2050年に向けた方針を示していることがポイントです
エネルギーミックス の現状
1970年代に起こった「オイルショック」をきっかけに、進んだかに見えたエネルギー源の多様化ですが、2011年に起こった東日本大震災の影響で国内の原子力発電が停止し、事態は一変。ふたたび火力発電が増加し、現在の化石燃料(石炭・石油・液化天然ガス/LNG)への依存度は85.5%にまで上っています。そしてそのほとんどを海外からの輸入に頼っているのです。国が示している2030年の目標数値である56%にはまだまだです。日本はエネルギー自給率も低く、相当な努力が必要、というのが現状なようです。
日本の一次エネルギー供給構成の推移
日本のエネルギー事情についてもっと詳しく知りたい方はこちら!エネルギーミックス 実現のために、私たちができること
大きなエネルギーミックス実現に向けて、より計画的に進めてかねば目標は実現しません。エネルギーミックスを形づくる、一つひとつの政策をよりパワーアップさせるために、国は以下のような方針を示しています。
●徹底した省エネルギー(節電)の推進
●再生可能エネルギーの最大限の導入
●火力発電の効率化と原子力発電の依存度を低減
一見すると私たちの暮らしには関係がうすいようにも思えますが、実際は日常生活と密接に関係していることばかり。日々の暮らしに置き換えた時、できることを考えてみました。
●消費電力が小さくなる電気の使い方をする
●使用していない電気製品のプラグはコンセントから抜く
●買い替え時は省エネ型製品を選ぶ
●自家消費型太陽光発電を導入する
●クリーンエネルギーを扱う電力会社を選ぶ
より細かいことをあげていくと「冷蔵庫の開け閉めを少なくする」「電化製品を使うタイミングをずらす」「お風呂は家族が続けて入る」など、まだまだたくさんありそうです。我が家でも声かけしながら、電気を調整して使ってみると、家族の会話も自然に増えました。ぜひみなさんもお子さんや、家族と一緒にゲーム感覚でアイデアを出し合ってみてはどうでしょう。
エネルギーを選ぶことは、未来を選ぶことです。
どのような社会で生きたいのか、どのような世界へ子どもたちを送り出したいのか。国任せにせず、国民の一人ひとりが責任をもって選ぶことが求められています。