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ニュースを読み解こう「プラスチック資源循環促進法」成立

2021年6月4日、「プラスチック資源循環促進法」が参院本会議で全会一致で可決、成立したというニュースが飛び込んできました。なぜいま必要なのか。その背景と「プラスチック資源循環促進法」が目指す未来について、読み解いていきたいと思います。

背景に潜む「海洋プラスチックごみ問題」

政府はこの法律案の趣旨として、以下のように述べています。

海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチック資源循環を一層促進する重要性が高まっています。これを踏まえ、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般であらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取組を促進するための措置を講じます。

経済産業省

より身近な問題として理解するために、具体的に見ていきます。
契機となった事由のなかでも「海洋プラスチックごみ問題」は、世界中で注目される大きな問題です。「海洋プラスチックごみ」とは、私たちが日常で使っているプラスチック製のペットボトルや食品容器などを、ポイ捨てしたり、不適切な処分をして海に流れてしまったりしたもののこと。海に流れるプラスチックごみは、世界中で年間800万トン、2050年には魚の重量を超えるともいわれているほど深刻化しています。

プラスチックごみの何が問題?

プラスチックごみは海を汚すだけでなく、海に生きる生物や産業、めぐりめぐって私たち人の体にまで影響を与えます。

海鳥やウミガメがポリ袋を餌と間違えて食べてしまったり、漁網に絡まったりして傷ついている映像を見たことがありませんか? あのショッキングな映像はほんの一部。現実には日常的にたくさんの生物、少なくとも約700種もの生物に甚大な影響があることがわかっています。

経済への影響も見逃せません。漁港や観光業だけでなく、船舶運行など海に関わる産業への間接的な被害も多く、合計すると甚大な経済的損失になっています。

最後に人体への影響についても。流れたプラスチックごみは、やがて目に見えないほど小さなマイクロプラスチックとなり、食物連鎖を通じて多くの生物、人に取り込まれます。具体的にどのような影響があるのかは明らかにされていませんが、もともと自然に存在しない物質が、体内に取り込まれた結果を考えるだけで恐ろしくなります。

「プラスチックごみ」と日本の関係。法案成立まで

海洋ごみの8割は、人の街からです。世界は使い捨てプラスチックの使用廃止に向けてすでに動いています。フランスは世界で初めて、プラスチック製の皿やコップの使用を禁止しました。日本の暮らしでも、昨年からプラスチック製レジ袋が有料になったり、プラスチック製ストローが続々と廃止されているので、この流れを“わかっているつもり”の人も多いかもしれません(私もその1人です)。でも現実は、もっと、もっと、シビアで、根深い問題であることを今回再認識しました。
日本の現状をみると、プラスチックの生産量は世界第3位、1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量は世界第2位という不名誉な結果がありました。国内外から日本に対し、プラスチック問題へのより責任ある取組をとの声が高まっています。これを受けて、これからの世界のプラスチック対策をリードしていくことを目指して成立したものが「プラスチック資源循環戦略」ということを押さえておきましょう。

法律の概要と、個人でできること

2021年6月に成立した「プラスチック資源循環促進法」ですが、施行されるのは、2022年4月から。概要は以下の通りです。

❶プラスチック使用製品設計指針

❷特定プラスチック使用製品の使用の合理化

❸市町村の分別収集・再商品化

❹製造・販売事業者等による自主回収と再資源化

❺排出事業者の排出抑制と再資源化等

成立前は、コンビニや飲食店で無料で提供されることが多い“プラスチック製のスプーンやフォーク”が有料化されるかどうかが論点に。今後は政府は有料化もしくは紙製や木製のものへ変更するよう求めていくようです。対応に追われる事業者の苦労はもちろん、なかにはこれまでの便利な当たり前が変わることに抵抗があるという消費者も。

何を求め、どこに配慮すべきか。物事の本質をとらえて、選択することが求められています。私も子どもたちの明るい未来のため、必要なことを選択し、時代にあわせてスタンダードを更新できる、柔軟な大人でいたいと思います。

この記事を書いた人:みちよ

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