最新報告『日本の気候変動2025』を読み解く【前編】――2℃と4℃、未来を分ける2つのシナリオ

「今年の夏は本当に暑すぎた!」――2025年の夏を振り返って、そう感じた方は少なくないと思います。全国各地で観測史上最高を更新する猛暑日が続き、“バケツをひっくり返したような豪雨”もありました。こうした異常な気象は「たまたま」ではなく、地球温暖化が着実に進んでいる証拠でもあります。
そして、この夏の異常気象を理解するヒントになるのが、文部科学省と気象庁が公表した最新レポート『日本の気候変動2025』です。
むずかしそうに思えますが、要するに「今の日本で起きている気候の変化」と「これから起きる未来の気候予測」をまとめたもの。研究者向けの詳細版もありますが、一般向けに読みやすい概要版も公開されています。
今回はこの概要版を手掛かりに、ポイントを押さえて、暮らし目線で分かりやすく紹介していきます。
自分の目でしっかり確認したいという方は、以下リンクからどうぞ!

目次
ここが大事!未来を分ける二つの道
この報告書のポイントは「2つの未来」が描かれていること。
それは 「2℃上昇シナリオ」 と 「4℃上昇シナリオ」 です。
●2℃上昇シナリオ
世界が協力して温暖化対策を進めた場合。平均気温の上昇を2℃程度に抑え込める未来。暑さや大雨は増えるけれど、ある程度コントロール可能。
●4℃上昇シナリオ
いまのまま有効な対策を取らずに温室効果ガスを出し続けた場合。平均気温が4℃前後も上昇し、猛暑や豪雨が当たり前に。生活や経済に深刻な影響が及ぶと予測されています。
数字だけ見ると「たった2℃の違い?」と思うかもしれません。ですが、実際には私たちの暮らしを大きく左右する差になります。
「2℃上昇シナリオ」 と 「4℃上昇シナリオ」を深く理解するには「パリ協定」記事が役立ちます。当社Webマガジン「エネクリップ」でもこれまで何度も取り上げてきましたので、ぜひ!
「2℃と4℃」は暮らしの肌感覚に直結する
ざっくりと言ってしまうと、2℃シナリオの未来は「夏がきびしいけれどまだ何とか耐えられる未来」。
4℃シナリオの未来は「真夏は命にかかわる危険な季節」に。
夜の寝苦しさ(熱帯夜)は倍増し、突然の豪雨や水害リスクも大きく跳ね上がると予測されています。
つまり2℃と4℃の差は、単なる数字の違いではなく「私たちの生活の質の違い」なのです。
後編予告
次回【後編】では、実際に私たちの身近な暮らしにどんな変化が迫っているのか――「寝苦しい夜の増加」「大雨の頻度」「台風の強まり」「海の変化」などを具体的に見ていきます。
ニュースで聞く“気候変動”が、きっと「自分ごと」として感じられるはずです。
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