知る、学ぶ。
「パリ協定」とは
地球温暖化は世界の多くの国にとって解決すべき最優先課題です。18世紀後半の産業革命以降、大気中の温室効果ガス濃度は上がり、それに伴って平均気温はどんどん高くなっています。
ここ日本も例外ではありません。毎年のように最高気温記録更新のニュースが届き、熱中症被害も拡大、連続する豪雨災害被害など記憶にのこる方も多いのではないでしょうか。
そこで重要な役目を果たしているのが「パリ協定」です。
一見するとわたしたちの暮らしにはあまり関わり合いがなさそうですが、地球に住んでいる限り、一人ひとりの今とこれからに深く関わっています。詳しく見てみたいと思います。
「パリ協定」とは温暖化対策の国際的な枠組み
2020年からの温室効果ガス排出の削減などについての国際ルールで、2015年にパリで開催されたCOP21(国連気候変動会議)で採択されています。
1997年に採択された、2020年までの地球温暖化対策の目標を定めていた「京都議定書」の後を継いだものですが、大きく2つの点が異なっていました。
「パリ協定」と「京都議定書」の相違点
❶温室効果ガスの排出削減義務を負う対象国が大きく広がった
❷課せられる温室効果ガスの排出削減義務がかなり緩くなった
1の対象国というのが、京都議定書では“先進国のみ”、パリ協定では“すべての国”となっていることを指しています。
2の義務が緩くなったというのは、京都議定書では“目標の達成”が義務でしたが、パリ協定では“目標の提出”までが義務とされていることを指しています。
目標達成から、目標を提出するだけで義務を果たしたことになるとは、随分とハードルが下がりましたね。
その結果、パリ協定には温室効果ガス排出量で上位を占める中国やアメリカ、インド、そして日本を含む多くの国が参加し、締結国だけで世界の温室効果ガス排出量の約86%、159カ国・地域をカバーする壮大なものになりました(2017年8月時点)。
先進国も途上国も地球上のすべての国と地域が対象となり、削減努力をすることをうたった、まさに歴史にのこる偉大な合意と言われています。
アメリカが2020年にトランプ大統領(当時)のもと離脱、2021年にバイデン大統領(2021年12月現在)のもと復帰したことも歴史にのこる一幕だと思います。
パリ協定の目標
パリ協定では、世界共通の長期目標を掲げています。
パリ協定の長期目標
●世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする●そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
資源エネルギー庁 長官官房 総務課 調査広報室 スペシャルコンテンツ 「今さら聞けない『パリ協定』 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
日本も締結国として、中期目標に「2030年度の温室効果ガス排出を2013年度比で26%削減する」ことを掲げています。これに対して世界から、目標数値が低いとの声もあるようです。他国と数字だけを見るとそう見えますが、各国の基準や指標がバラバラで、比較がわかりづらいというのが正直なところ。でも年度を合わせた削減・抑制目標を比較した表※から見てみると、日本の目標数値はかなり高いことが分かります。※こちらの表は経済産業省が作成した主要国の約束草案(温室効果ガスの排出削減目標)の比較を基にしています
目標を達成するための鍵が、やまとも推進している「再生可能エネルギー」です。2030年のエネルギーミックスでも、国は「徹底した省エネルギーの推進」とともに、「再生可能エネルギーの最大限の導入」を掲げています。
パリ協定の目標を達成することは、世界においても、日本においても、決して楽なものではありません。でも一人ひとりができることはたくさんあります。ぜひ家庭においても、暮らしのエネルギーの使い方や消費行動を見直し、そして責任をもってエネルギーを選ぶことを実践してみてください。
日本のエネルギー事情を知ると、よりパリ協定の目標が高いものか、よく分かりますよ。
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