できる? できない?
賃貸物件の電力切り替え
電気代を削減できる新電力は、マンションやアパートなどの賃貸物件にお住まいでも契約が可能です。しかし賃貸はいろいろと制限があるため、独断で手続きしていいのか気になりますよね。今回は賃貸での電気の切り替えについて、気になるポイントを解説します。ただし、物件によっては入居者が電力会社を選べない場合もあります。
電力自由化は賃貸物件も例外ではありません
いまからうん十年前、わたしは進学のためアパートでひとり暮らしをすることになりました。入居時に玄関ポストに入っていた電力会社の申込書で電気の契約をしたことを覚えています。電力自由化前だったため、電気の契約先はその一社に限られていました。
この部屋、今なら入居者が気に入った電力会社と契約することができます。つまり、一部を除き、賃貸物件も持ち家と同じように電力の切り替えが可能ということです。
切り替えられる賃貸、できない賃貸
入居者が自由に電力会社を選ぶことができるのは、入居者と電力会社が直接契約している場合です。毎月の電気料金を電力会社に支払っていれば条件クリア。大家さんに許可を取らなくても切り替えてOKです。
それ以外であれば切り替えは基本的にはできません。例えば、管理会社や大家さんから電気代の請求が届き、支払っている場合が該当します。
また、お住まいの物件が高圧一括受電契約をしているときも電気の切り替えはできません。 どちらに当てはまるかわからないときは、管理会社に尋ねるのが確実です。
高圧一括受電契約とは
マンションなどの建物一棟単位で結ばれる契約。低料金の高圧電力を一括で受電し、専有部(各戸)へ供給するものです。オーナーや管理会社と電力会社との契約となるため、入居者単位で変更することはできません。高圧一括受電契約にも、電気代が安くなるというメリットがあります。
切り替えの流れ
電気の切り替えOKな物件であることがわかっても、そのために工事や停電が発生したら、ほかの入居者の迷惑になるのではと気になります。
電力会社の切り替えには基本的には大規模な工事は必要ありません。また、停電も発生しません。
やまとの電気を例にお話しします。持ち家でも賃貸でも、切り替えは次のような流れで進められます。
❶やまとの電気(供給会社:ネクストパワーやまと)にお問い合わせ
❷現在のご契約内容や電気のご利用状況をやまとにお伝えください
❸いただいたデータをもとに年間の電気代をやまとが試算し、おすすめの料金プランを提示します
❹ご契約(現在の電力会社からの切り替えをやまとで行います)
❺電力メーターが旧式である場合、一般送配電事業者(九州の場合は九州電力送配電)がスマートメーターへの交換工事を行います
❻供給開始日を境に、やまとから電気を供給します
❺に交換工事とありますね……
スマートメーターの交換工事は、工事を担当する事業者から事前連絡したうえで原則停電を発生させずに行います。メーターの取り付け場所で作業をするので室内に立ち入ることはなく、不在時でも工事を行う場合があります。ほとんどの場合、工事費用は発生しません。大規模な工事ではありませんが、気になる方はご近所にひと言伝えておくとよいでしょう。また、建物の所有者である管理会社または大家さんにも念のため連絡しておきましょう。
参照サイト:九州電力送配電 スマートメーター(外部サイトに移動します)
すでにスマートメーターが設置されていたら工事はありません
退居するときは
最後に、退居時について知っておきたいことをお話しします。賃貸には「原状回復」のルールがありますが、スマートメーターに交換していても取り外す必要はありません。スマートメーターは政府が全世帯、全事業所への設置をすすめているものなので、いつかは交換しなければなりません。そのため原状回復しなくてもよいのです。
もう一つ退居時に注意したいのは、電力会社への連絡を忘れないことです。解約手続きを行わなければそのまま電気代が請求されてしまいます。電気を使っていなくても基本料金は発生します。必ず契約先にご一報を。
退去時は電気の供給を止める日までに屋内ブレーカーをOFFにしてくださいね