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第2次トランプ政権で世界の温暖化対策はどう変わる?

2025年1月20日、米国に第2次トランプ政権が誕生。就任と同時に新大統領は、新たな政策に関する文書に次々に署名しました。なかには前回の記事でも懸念していた通り「パリ協定からの離脱」も含まれています。トランプ大統領が率いる米国の動きで、世界のエネルギー・環境政策にどう影響するのでしょうか? エネルギー・環境に関するニュースのなかから気になるものを3つピックアップしました。

【注目1】パリ協定からの離脱

初日に署名した「大統領令」のうち最大の注目は「パリ協定からの再離脱」です。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」には、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という大きな目標があります。この目標を達成するためには世界各国がそれぞれ最大限に努力する必要があるのです。なかでも世界で2番目にCO2排出量が多い米国※の責任は大きいでしょう。「2050年までのカーボンニュートラルの実現」を公約に掲げたバイデン前政権とは対照的な動きを見せるトランプ政権。今回の離脱の影響がどこまで及ぶのか、今後が気になります。

※順位は総務省統計局「世界の統計2024」、16-4項「燃料燃焼による二酸化炭素排出量」2021年より

総務省統計局「世界の統計2024」(PDF)
みちよ

ちなみに米国の「大統領令」は議会の承認なしに大統領の独断で成立させられる法律のような命令。日本では想像できないやり方ですね。

【注目2】EVなど5割目標・排ガス規制も見直し

バイデン前政権はEVの普及にも積極的でした。2021年には「新車の50%以上を2030年までにゼロエミッションカーとする」といった内容の大統領令を出していました。さらにそれらを後押しするような「2027年から自動車の排気ガスの基準を段階的に厳しくする」規制策も発表されていましたが、どちらもが、今政権下でストップがかかりそうです。

みちよ

トランプ大統領は再選前から、これらを「EV義務化」だと批判していましたね。

【注目3】エネルギー緊急事態宣言

最後に「エネルギー国家非常事態宣言」に注目しました。バイデン前政権下では化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を推し進めていましたが、大きく一転。米国内の化石燃料の掘削を拡大する方針を示しました。米国のガソリン価格高騰やインフレを抑える狙いがあるようです。

みちよ

トランプ大統領が「Drill, baby, drill」と力強く演説していましたね。

世界の地球温暖化対策の潮流はどうなる?

これまで地球温暖化対策をリードしてきた米国ですが、これからの4年間でその動きが鈍化することは間違いなさそうです。しかし地球の温暖化による危機は変わらずあります。世界全体のカーボンニュートラル実現への潮流は止まらないのではないでしょうか。日本もその潮流を外れることなく、より一層取り組みを加速させてほしいと思います。

この記事を書いた人:みちよ

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