話題のカーボン・クレジット「Jブルークレジット」を知ろう!
今回は、海中に吸収・貯蓄された炭素「ブルーカーボン」についての記事で触れていたブルーカーボン・クレジット「Jブルークレジット」について、詳しく解説します。
ブルーカーボン記事について未見の方はこちらから
Jブルークレジットとは?
まず大前提として、日本政府は2050年までにCO2などの温室効果ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す宣言をしています。そのためには自治体や企業、市民もそれぞれがCO2排出を減らす努力が必要に。ただ、がんばってもどうしてもゼロにできない排出量もありますね。そんな時は、他者によるCO2削減分を購入するという手も。そうして埋め合わせをし、調整することをカーボン・オフセットと言います。
カーボン・オフセットについてはこちらで詳しく紹介しています!カーボン・オフセットの代表例として、まず思いつくのは、陸上の植物などで吸収・貯留される炭素「グリーンカーボン」や、省エネ・再エネによるCO2削減量を定量化し取引可能にした「J-クレジット」でしょう。そこに2009年、国連が海中で吸収・貯蓄される炭素「ブルーカーボン」の重要性を発表。最新の調査結果では、陸域での炭素吸収量が19億トン(※)であるのに対し、海域の炭素吸収量は29億トン(※)と見積もられていて、「ブルーカーボン」の役割に大きな期待がよせられるように。そして、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合 (以下JBE)により、「ブルーカーボン」を定量化し取引可能にした「Jブルークレジット」が発行・販売されるという流れに。2020年度から取引開始されています。
※数値は国土交通省港湾局発行の「海の森ブルーカーボン CO2の新たな吸収源」より
「Jブルークレジット」には、どんなメリットがあるの?
Jブルークレジットは、温室効果ガスを削減したい企業団体などの購入者と、温室効果ガス削減プロジェクトを実施している申請者、双方にメリットがあります。
購入者のメリット
●温室効果ガスを間接的に削減
●環境保全の取り組みを支援
→活動の開示により企業の価値が向上
申請者のメリット
●活動資金の調達
●活動の認知度向上
→資金面・人材面の改善により取り組みが活性化

購入者と申請者はWin-Winの関係ですね。
Jブルークレジットを購入したい!
JブルークレジットはJBEの公募に申し込みをし、購入することが可能です。
取引が始まったばかりの2020年度、2021年度は年1回しか公募されていませんが、2022年度からは3回、4回と公募が行われていました。2024年度の現時点(2024年12月26日)では申込先着順で売り切れ次第終了とあります。ただし2025年2月1日から3月31日までは、新規の購入申込みの受付を一時停止予定となっていたので、購入予定のある方や詳細を知りたい方は、JBEのサイトをしっかりチェックしましょう。ただし、国内に本店又は主たる事業所を有する法人(内国法人)であることが第一条件など、「公募参加資格」の要件はよくよくご確認が必要です。
Jブルークレジットを申請したい!
Jブルークレジットの申請手続きについては複雑なので、まずは手引き書を参照するのがいいでしょう。令和六年3月の最新版がこちらです。
Jブルークレジット認証申請の手引き- ブルーカーボンを活用した気候変動対策 – Ver.2.4 / 令和6年3月 (PDF)申請者には、Jブルークレジット運用システムによる事前相談、対象プロジェクトの確認、関係者の把握・調整、調査、Jブルークレジット運用システムによる申請、現地ヒアリング・申請内容確認までの対応が必要で、専門的な知見が求められます。また、これまでの認証実績を見てみると、申請者の8割は漁業者、次点で自治体となっていました。

一般企業団体には申請のハードルは高いのかなとの印象を受けました。
ブルーカーボン・クレジット市場の今後は?
Jブルークレジットの認証数は年々増加しています。富士経済(東京都中央区)のカーボンクレジットに関する市場調査結果からも、注目度の高さや期待がうかがでます。以下にJブルークレジットに関しての記述を抜粋しました。
創出量が少なく取引価格も70,000円ー80,000円/t-CO2と非常に高価であるが、ブルーカーボンはCO2の吸収率が高いことや長期にわたる貯留が可能であることから、注目度は高い。現在、制度の改善・向上に向けた研究が進んでおり、今後は、創出量の増加とコストダウンを背景に伸びが期待される。
これからのブルーカーボン市場の、ますますの活発化が期待できそうです。今後も注目していきたいと思います!
人気記事ランキング
知る、学ぶ。
「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の違い
2022年日本のSDGs達成度は19位!これからの課題は?
2030年、100%LED化が政府の目標。照明の転換期を迎えています
知る、学ぶ。
「原子力発電」
知る、学ぶ。
「水力発電」
卒FIT前に届く買取期間満了通知は
必読! 要保管! の重要書類
工事なしでは発火のおそれも。LED化の注意点
知る、学ぶ。「グリーン電力証書・Jクレジット・非化石証書」とは?
ちゃんと理解できている? 太陽光発電のメンテナンス義務化とは?
実験レポート・太陽光発電設備の自立運転中にどのくらいの家電が使えるか
知ってなっとく!
これからのエネルギーのお話
知る、学ぶ。
日本のエネルギーの「今」
知る、学ぶ。
「SDGs」とは
知る、学ぶ。
「ESG投資」。
知る、学ぶ。
「RE100」。
知る、学ぶ。
「太陽光発電」
知る、学ぶ。
「バイオマス発電」
知る、学ぶ。
「地熱発電」
知る、学ぶ。
「エネルギーミックス」とは?
知る、学ぶ。
「風力発電」
知る、学ぶ。「グリーン電力証書・Jクレジット・非化石証書」とは?
知る、学ぶ。自家消費型太陽光発電と
「PPA」「PPAモデル」
知る、学ぶ。
「水素エネルギー」
知る、学ぶ。
「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の違い
東京2020大会からはじまる水素社会
知ってますか?
これからの新電力のあれこれ
「電力自由化」の今
新電力のメリットをおさらい
電力会社切り替えの際に、よくある不安の声に、お応えします
チェックしてる?
電気の成分表「電源構成」
卒FIT後に「やまとのFIT」を選んだら
電力不足で市場価格が高騰。
いったい何が起こったのか?(1/2)
電力不足で市場価格が高騰。
いったい何が起こったのか?(2/2)
基本料金ゼロで使った分だけお支払い
電気の学生割「やまとゼロプラン」
電力自由化後の電力供給の仕組み
やまとの電気が届くまで
あまり語られない新電力の安さの秘密。需給管理は縁の下の力持ち
はたしてどれだけ安くなるか? 電気料金シミュレーションをやってみた
鹿児島在住でなくても使えます。「やまとの電気」の供給エリア
電気代の仕組みを解説。
請求金額の読み解き方