ホーム 省エネ 電力消費量が3分の1に家計と環境にやさしい「エコキュート」

電力消費量が3分の1に
家計と環境にやさしい「エコキュート」

家庭のエネルギー消費を減らすカギは「給湯」にあり。数ある給湯システムのなかでも、「エコキュート」はその高い省エネ効果で注目されています。ほかと比べてランニングコストが大幅に減るのはなぜなのか、仕組みを交えて解説。さらに見逃せない特長、買い替えどきの注意点もご紹介します。

給湯=家庭のエネルギー消費量の約3割

夏は冷房、冬は暖房。ご家庭のエネルギー消費を見直すとき、ついつい目を向けてしまうのは集中的に使用するこれらの項目です。実はそれと同等、またはそれ以上にエネルギーを消費しているのが給湯なのです。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2020」において、給湯は家庭内のエネルギー消費量の約3割を占めていると報告されています。

  エネルギー白書2020「【第212-2-16】世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費の推移」をもとに筆者作成
かんまり

意外と多い

主にお湯を使うのはお風呂やキッチンです。1年365日ほぼ毎日使うので、3割という数字は当然かもしれませんね。そのため給湯エネルギーを少しでも減らすことが省エネと環境対策のポイントになる、とも言われています。

給湯を高効率化させるには? おすすめなのがエコキュートです。

エコキュートの仕組み

エコキュートは、太陽で暖められた大気中の熱エネルギーと、電気エネルギーを併用した給湯システム。しかし大気中の熱でお湯を沸かすと聞いても、あまりピンときません。そこには学校でも習う次の2つの原理が働いています。

・気体は圧力をかけると温度が上がり、急に開放すると温度が下がる
・熱は高い温度から低い温度に移動する

これを踏まえて、以下のエコキュートの仕組みを表した図を見てみましょう。

➊大気中の熱をとりこむ
➋圧縮して、高温にする
➌自然冷媒の熱を水に伝える(→熱を受け取ったお湯は貯湯ユニットへ)
➍膨張させて温度を下げる

➌の「自然冷媒」とは熱を運搬する物質のことです。エコキュートには二酸化炭素が冷媒として使われています。これは化学工場などで発生した二酸化炭素を有効利用したもので、ヒートポンプユニット内の密閉された回路の中で循環し外へ漏れ出す心配はありません。

冷媒の圧縮によってお湯を沸かすのに十分な温度を発生させ、その熱を水へ伝えた後は次なる大気熱を吸収しやすくするために減圧して低温に戻すという仕組みです。

給湯に使う電力消費量が約3分の1に

エコキュートの最大のメリットは、給湯コストを大幅にカットできることです。通常の給湯に必要なエネルギーを3とすると、エコキュートならそのうち2を大気熱が担い、電気は1の割合しか使いません。電気だけで沸かす場合と比べて、電力消費量を3分の1に抑えることが可能です。

割安料金の夜間電力で主に沸き上げますが、太陽光発電の余剰電力を活用することでさらなるコストカットが期待できます。

非常時や停電時の備えになる

もう一つ注目したいのが、もしものときの備えとなる点。非常用取水栓があるので、断水時には貯湯ユニット内の水(お湯)が非常用水になります。3~5人用と言われている370Lの貯湯ユニットであれば2~3日分の生活用水が確保できます。ただし飲用はできません。

また、停電時は沸き上げや沸き増しはできませんが、貯湯ユニットにお湯が残っていればシャワーや蛇口からお湯が使えます。

買い替え予定の方は、ここに注意!

現在エコキュート以外の給湯機を使用中で次はエコキュートに切り替えたいと考えている方、またはすでにエコキュートを導入して数年が経っている方への注意点。壊れてしまう前に、早めに買い替えを考えておきましょう。

機器が壊れてしまってから修理や買い替えを依頼すると、数日間はお湯やお風呂が使えません。いずれのメーカーも性能、機能が進化しているので、比較検討する時間を確保するためにも、早めの行動をおすすめします。

メーカーが提案する「買い替えを考え始めるポイント」には
・給湯機本体記載の製造年から10年以上経過、もしくは10年に近い
・お湯に混じって錆のようなものが出てくる
・配管からお湯が漏れている
・お湯の温度が急に上がるなど温度のばらつきが大きい
などの例が挙げられています。

また、購入から10年以上が経過した旧型の機種のなかには、部品在庫がないため修理不可となる場合があります。これはメーカーが製品の製造を終了したときを起点に定めた部品の保管期間を過ぎてしまったからです。メーカー間の違いはあれど、エコキュートの場合は8年~10年。部品の保管期間にも注意しつつ、気になることがあれば早めに点検を行いましょう。

この記事を書いた人:かんまり

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