ホーム エネルギー 再エネ100%をめざした東京2020オリンピック・パラリンピック

再エネ100%をめざした東京2020オリンピック・パラリンピック

207の国・地域の選手約1万1300人が参加する東京オリンピックが、2021年7月23日に開幕しました。8月8日までの17日間、33競技339種目で熱い闘いが繰り広げられます。日本で57年ぶりに開かれると、決定当初は大盛り上がりをみせた東京オリンピック。新型ウイルスの世界的な流行で、2020年の夏開催の予定が五輪史上初めての延期。未だ収束せずに、東京都内をはじめ埼玉・千葉・神奈川・福島の4県と北海道でもほとんどの試合が無観客で行われるなど、異例づくめの大会になっています。反対意見やマイナスのニュースもありますが、東京五輪の特徴のひとつ「環境に優しい大会」というポジティブな面にも光を当てていきたいと思います。

随所にみられる環境への配慮。リサイクル品が大活躍

東京2020オリンピック・パラリンピックでは、持続可能な資源利用の実現を目指した様々な取り組みが進められてきたこと、ご存知でしょうか? その一部をご紹介します。

不要になった携帯電話がメダルに!?

「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は、携帯電話やパソコンなどの小型家電を回収し、抽出されたリサイクル由来の金属でメダルを製造する史上初の取り組みです。2017年4月から2年間で、オリンピック・パラリンピックの金・銀・銅あわせて約5,000個のメダルに必要な金属量を100%回収することができたそうです!

震災の仮設住宅のアルミが聖火リレートーチに!?

大会の象徴である聖火。多様なバックグラウンドをもつ大坂なおみ選手が、聖火最終ランナーとなり聖火台に火をともした時の感動がのこっている方も多いのではないでしょうか。このトーチに、東日本大震災の被災地で使われた仮設住宅のアルミ建築廃材が素材の一部として再利用されていました。

使用済みプラスチックが表彰台!?

前回のリオ大会でも、環境保全や地域社会の利益に配慮した木材が使用されましたが、東京2020大会では、使用済みプラスチックを使用。「使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト」~みんなの表彰台プロジェクト~が実施され、回収された使用済みのプラスチック空き容器や、海洋プラスチックが表彰台に再利用されていました。こちらも史上初の取り組みです。

みちよ

近年、世界的に大きな課題となっているプラスチック問題は、日本も深く関わっています。プラスチック問題については、ぜひこちらの記事を!

プラスチック問題とは?

膨大に消費される電力は、再エネ電気

最も注目したのは、電力です。オリンピックは競技場や運営だけでなく、それに関わる運輸などで膨大なエネルギーを消費する大イベントです。電力消費量がピークに達する夏期に開催されるということもあり、安定したエネルギーの供給が必須です。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は、大会運営電力100%再生可能エネルギー(以下、再エネ)化という目標を発表しています。発電源にも環境や被災地復興への配慮がありました。公表されている再エネ電気について詳細は次の通りです。

再エネ電気の発電源は、国内の建設廃材や剪定枝を活用する木質バイオマス発電施設と福島県内の太陽光発電施設(※)です。福島県では、復興計画において、再生可能エネルギーの導入を強く推し進めており、東京2020大会では、再エネ電気の利用を通じて、被災地の復興を後押ししていきます。この取り組みとして、BMXフリースタイル・BMXレーシングおよびスケートボード競技が行われる有明アーバンスポーツパーク会場においては、大会期間中はすべて福島県産の再エネ電気で運営する予定です。

※ FIT制度(再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度)を活用した太陽光発電施設で、当該施設の発電により生ずる環境価値を追跡(トラッキング)した非化石証書を活用しています

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 公式サイトより
みちよ

環境問題に高感度なみなさまが気になるワードがてんこ盛り。過去記事で取り上げていますので、ぜひおさらいに。

バイオマス発電とは? 太陽光発電とは? 環境価値、非化石証書とは?

東京オリンピックから未来へ

これらの環境やエネルギーに関する様々な取り組みは東京オリンピック・パラリンピックのためだけではありません。持続可能な社会、私たちの未来へと続く取り組みです。東京五輪は、脱炭素を目標にした再生可能エネルギーの活用を国内外に広く示す機会でもありました。今回の時点では実験的な取り組みも、今後ますます研究が進み、私たちの暮らしに直接関わってくる日も遠くないかもしれません。のこりのオリンピック・パラリンピック大会期間は、選手の活躍やメダルの数だけでなく、ぜひ運営の目的やエネルギーという側面からも見てみてください。いつもとは違ったユニークな面が見えてきて、より一層楽しめますよ。

この記事を書いた人:みちよ

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