ホーム 太陽光 【10kW以上|発電事業者向け】仕組みや精算方法を解説。オンライン代理制御Q&A

【10kW以上|発電事業者向け】仕組みや精算方法を解説。オンライン代理制御Q&A

九州電力エリアで2022年の末に始まったオンライン代理制御。開始後に発電料金を受け取られた中には、なんだか金額が減ったと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。スタートから半年経ち、少しずつ全体像が見えてきました。そこで今回はこの新制度について改めて整理します。※この記事は九州電力エリアを対象にしています。

Q.そもそも出力制御って何

九州電力送配電によると、出力制御は次のように紹介されています。

電気を使う量と発電する量(需要と供給)を合わせるために、発電する量(供給)をコントロール(制御)すること

引用:九州電力送配電 再エネ出力制御について (kyuden.co.jp)
かんまり

電気の鉄則「同時同量」。需要は予測やコントロールが難しいので発電する側で調整しています

Q.オンライン代理制御とは

オフライン発電所の出力制御をオンライン発電所が代わりに実施するものです。

オンライン側には代行していた時間帯に発電していたと思われる「みなし発電量」に見合った料金が支払われ、オフライン側は出力制御の対象となる時間帯の発電に対する料金が差し引かれます。このようにオンラインとオフラインとで金額を精算することから、オンライン代理制御は「経済的代理制御」とも呼ばれています。

オンライン代理制御についてはこちらの記事もチェック
九州本土は2022年12月開始。出力制御対象拡大とオンライン代理制御(エネクリップ記事)

Q.オンライン発電所、オフライン発電所の違いは?

■オンライン発電所
出力制御の機器を設置しており、送配電事業者などによって遠隔で自動的に出力制御することができる。電力の需要に応じた柔軟な調整が可能。

■オフライン発電所
出力制御の機器を設置していないため発電を止めるには手動操作が必要(遠隔操作できない)。

2015年1月25日までに接続契約を締結した発電所には、出力制御機器の設置義務はありません。それ以降は設置が義務付けられています。オフラインは遠隔操作ができないので、オンラインがオフラインに代わって発電を止める。繰り返しになりますが、これが「オンライン代理制御」です。

Q.出力制御の対象範囲は?

九州電力エリアでは2022年12月から発電出力10kW以上の太陽光発電所(発電設備)はすべて対象となりました。それまでは旧ルールの10kW~500kW未満は対象外でしたが、同規模で出力制御を実施している発電所(無制限無補償ルールの発電所)もあり、公平性に欠けると問題視されていました。10kW未満はオンオフ問わず当面は対象外です。

 九州電力送配電Webサイトを参考に筆者作成
かんまり

旧ルール? 無制限無補償ルール?

Q.旧ルール、無制限無補償ルールの違いは?

旧ルールは年間30日までの出力制御が無補償となるルールです。2015年1月25日までに送配電事業者と接続契約を締結した太陽光発電所に適用されます。 無制限無補償ルールは出力制御が無制限で無補償となるルールです。2015年1月26日以降に送配電事業者と接続契約を締結した太陽光発電所に適用されます。

Q.代行分はどのように精算される?

代行した出力制御は発電料金で精算されます。翌々月検針分の発電料金で確認することができます。例:3月検針分の代理制御は5月検針分で精算

代理制御した側(オンライン)、された側(オフライン)の違いは以下のとおりです。
■オンライン発電所
代理制御分(その時間に発電していたとみなされる発電量)が発電料金に補填される
■オフライン発電所
代理制御分が発電料金から控除される

 九州電力送配電Webサイトを参考に筆者作成

発電料金の補填や控除の金額は、送配電事業者が毎月発表する精算比率で決まります。例えば九州電力送配電は2022年12月から現在(2023年7月時点)までで以下の精算比率を発表しました。

 九州電力送配電Webサイトを参考に筆者作成

春が近づくにつれ調整幅が大きくなっているのがわかりますか?

代理制御実施期間が年末年始の頃は「0.06%」「-0.44%」「-0.44%」なのに対し、4月頃には「25.52%」「-43.23%」「-38.73%」。これほど浮き沈みがあるのは少し驚きです。 春は発電量が多くなる季節。その一方で需要は冬や夏ほど高くなりにくく、電気が余りがちになります。すると出力制御は頻繁に実施されます。そのため代理制御分を調整する精算比率が急激に上がったと考えられます。

Q.具体的な数字で見ると?

架空の発電所でどのように精算が行われるかを考えてみます。

オンライン発電所(買取単価 24円/kWh、5月検針分の発電量4200kWh、前々月[3月検針分]の発電量3800kWhのモデルケース)
精算比率(2.50%)を当てはめると、代理制御分2280円が補填されます。



オフライン発電所(旧ルール10kW以上500kW未満、買取単価32円/kWh、5月検針分の発電量4000kWh、前々月[3月検針分]の発電量3500kWhのモデルケース)

精算比率(-10.61%)を当てはめると、代理制御分1万1872円が控除されます。

かんまり

6月検針分、7月検針分で置き換えるとなかなかの金額が動きそうです。

理解しておくことが大切です

発電事業者にとって出力制御はできるだけ実施されないほうがいいですが、予防できるものでもありません。それでも新しく始まったルールを理解しておくことで、発電量や発電料金が減った理由を予想し、確認することができます。複雑でわかりにくい部分もありますので、今後も新しい情報をお伝えして出力制御の疑問を解消していきたいと思います。

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この記事を書いた人:かんまり

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