ホーム エネルギー これからの太陽光発電はペラペラ!? 「ペロブスカイト太陽電池」

これからの太陽光発電はペラペラ!? 「ペロブスカイト太陽電池」

紙のようにペラペラで“貼る”太陽電池が気になっています。日本発、再エネ拡充の切り札とも言われていて、その存在感はますます増しているようです。これまでの太陽電池と何が違うのか? 今の私たちの現実的な選択肢となりえるのか? メリットもデメリットも含めて見ていきたいと思います。

薄い・軽い・安い? ペロブスカイト太陽電池

太陽電池といえば、屋根の上の家庭用太陽光発電や、緑豊かな広い土地にずらりとならぶ産業用太陽光発電を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。これらは主に「シリコン系太陽電池」と呼ばれるもの。対して、いま話題となっているペラペラの太陽電池は「ペロブスカイト太陽電池」と言います。

ペロブスカイト太陽電池のメリット1 薄くて軽い

2つの太陽電池が大きく異なるのは、何よりもその形です。厚く・重みがあり設置には専用の架台が必要な「シリコン系太陽電池」に対して、薄く・軽い「ペロブスカイト太陽電池」はゆがみに強く、曲げることも可能というから驚きです。これにより、これまで耐荷重が足りず設置できなかった建物の屋根や、体育館のようなアーチ型の屋根、壁にも設置が可能になります。実はすでに日本は、平地面積当たりの太陽光発電の導入量が主要国1位です。今以上に設置場所を確保するのは難しいという問題も「ペロブスカイト太陽電池」ならクリアできるのです。

ペロブスカイト太陽電池のメリット2 低コスト

さらにコスト面でも利点が。これからさらに開発が進めば、「ペロブスカイト太陽電池」はシリコン太陽電池に対してかなりの低コストが実現するのではと見込まれています。材料をフィルムなどに塗布・印刷して作るので大量生産ができること、主な原料である「ヨウ素」が日本で多く生産できること、薄く軽量なことから材料費や設置費、輸送費も少なくてすむこと。これらの条件がそろえば広く普及しそうです。

ほかにも透過性があるのでガラス窓にも使用できる、少ない光量でも発電が可能などたくさんのメリットが。まとめると、ペロブスカイト太陽電池のメリットは大きく3つに集約できそうです。

1活用場所が拡がる
2.低コストで導入のハードルが低い
3.国内で材料が調達可能

みちよ

「ヨウ素」の世界生産量は、日本はチリに次いで世界第2位。エネルギー自給率の低い日本にとって「国内で材料が調達可能」は大きなメリット!

デメリットはないの? 実用化はいつ?

こうして見ると、いいことづくめのペロブスカイト太陽電池ですが、もちろん課題もあります。

ペロブスカイト太陽電池の課題1 寿命が短い

一番の懸念は「寿命」です。シリコン太陽電池の耐用年数は20年以上と言われていますが、ペロブスカイト太陽電池の耐用年数はその半分以下と見られています。ただ、開発当初は5年程度だったものが現時点で10年と考えると、このデメリットが解消される日は近いかもしれません。

ペロブスカイト太陽電池の課題2 安全性

もうひとつの大きな懸念は「安全性」です。国内生産が可能な「ヨウ素」が材料となっていることをメリットに挙げましたが、反面課題にもなっています。実は「ヨウ素」は有害物質で、体内に入ると障害が発生する可能性や、不適切に処理すると公害を起こす可能性を指摘されています。取り扱いに十分な配慮が必要です。こちらも使用料を減らす、または代用品の研究が進められています。

実用化は来年・2025年!?

課題はありつつも、実用化はもう目の前です。国としても強く後押しをしていて、2023年10月時点で、岸田首相は「ペロブスカイト太陽電池」について2025年の実用化を目指す考えを表明しています。カーボンニュートラル実現への重要な切り札として見ていることがわかります。

また、2025年に全面開業するJR西日本の「うめきた(大阪)駅」でペロブスカイト太陽電池の設置も公表されています。私たちが街なかで実際に目にするようになる日が近づいています。

みちよ

因みに、ペロブスカイト太陽電池を開発したのは日本人。開発者である宮坂力(みやさか つとむ)博士はノーベル賞の有力候補です!

現時点では太陽光電池の選択肢としては、信頼性と安全性の高い従来のシリコン太陽電池になりますが、さらに研究が進めば条件や用途にあわせて選択肢はもっと増えていくことでしょう。これからもその動向を追っていきたいと思います。

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この記事を書いた人:みちよ

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