ホーム エネルギー 知る、学ぶ。「水力発電」

知る、学ぶ。
「水力発電」

日本がかつて再エネ大国であったことはご存知ですか?
調べてみると、現在の日本のエネルギー自給率はわずか8%ですが、1950年代は58%もあったというから驚きですね。そして、その大部分が「水力発電」によるものだったそうです。今回は、気になる水力発電について調べてみました。

明治25年に日本初の水力発電所が完成して以降、水資源の豊富な日本では、各地で作られるようになりました。一度発電所を建てれば安定して長期間の発電が可能で、明治時代に建設された発電所には今も電気をつくり続けているものもあるそうです。

日本人に馴染み深い再生可能エネルギーのひとつであり、水資源に恵まれた日本ならではの国産エネルギーである水力発電について見ていきます。

水力発電のしくみ

水力発電は、簡単に言うと水の勢いで水車を回転させて、発電するものです。水が高いところから低いところへ流れる時の落差(位置エネルギー)を利用して発電を行ってます。高いところから低いほうへ勢いよく水を流し、その中の発電用の水車・タービンの回転で発電機を動かす仕組みになっているんですね。
一口に水力発電と言っても、その種類は様々。大別方法も一つではなく、「発電方式」と「構造」によって分別されているようです。


【水力発電を発電方式で分けると4種類】

貯水池式

河川を流れる水の量は、季節的に大きく変化します。このため、水量が豊富で電力の消費量が比較的少ない春先や秋口などに河川水を大きな池に貯め込み、電力が多く消費される夏季や冬季にこれを使用する年間運用の発電方式を貯水池式といいます。

経済産業省 資源エネルギー
みちよ

年間を通した、季節ごとの電力消費量をカバーするタイプ、と理解しています

調整池式

電力の消費量は、1日の間あるいは1週間の間にも変化します。このため、夜間や週末の電力消費の少ない時には発電を控えて河川水を池に貯め込み、消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電する方式を調整池式といいます。

経済産業省 資源エネルギー
みちよ

「貯水池式」よりもより短期間、1日から1週間ごとの電力消費量をカバーする、ということですね

流れ込み式

河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式を流れ込み式といいます。

済産業省 資源エネルギー
みちよ

ダムが必要ないのでコストが抑えられるというメリットも!

揚水式

1日の電力消費量は時間帯により大きく異なり、ピーク時には最も少ない時の約2倍にも達します。揚水式は、これらピーク時に対応する発電方式で、主として地下に造られる発電所とその上部、下部に位置する2つの池から構成されます。昼間のピーク時には上池に貯められた水を下池に落として発電を行い、下池に貯まった水は電力消費の少ない夜間に上池にくみ揚げられ、再び昼間の発電に備えます。

経済産業省 資源エネルギー庁
みちよ

1日に大きく変動する電力消費量をカバーした発電方式ですね

【水力発電を構造物で分けると3種類】

ダム式

ダムにより河川をせき止めて池を造り、ダム直下の発電所との落差を利用して発電する方式です。

経済産業省 資源エネルギー庁

水路式

川の上流に低い堰を造って水を取り入れ、長い水路により落差が得られるところまで水を導き発電する方式です。

経済産業省 資源エネルギー庁

ダム水路式

ダム式と水路式を組み合わせた発電方式で、両者の特性を兼ね備えた地点に適しており、各々単独の方式とした場合に比べて、より大きな落差を得ることが可能となります。

経済産業省 資源エネルギー庁

発電方式と構造面の組み合わせについて、もう少し言及すると、「ダム式」は「貯水池式」または「調整池式」との組み合わせが、「水路式」は「流れ込み式」と、「ダム水路式」は「貯水池式」「調整池式」「揚水式」と組み合わされることが多いそうです。
日本で最も多い「重力ダム」や、形そのものが美しい「アーチダム」など、ダムの形まで追求すると、その種類の多さは数え切れないほど。

みちよ

この奥深さが、サングラスがトレードマークな某有名人で知られるダムマニアたちを魅了しているに違いありません!

水力発電のメリットとデメリット

水力発電のメリットはCO2を排出しないクリーンな再生可能エネルギーであることです。また、原子力発電や火力発電などのほかの電源に比べると、発電や管理・維持にかかるコストも小さく抑えられます。原料である水は、天からの恵で無料であることも大きいですね。水資源の豊富な日本と相性がいい発電方法と言えますね。

反対にデメリットはというと、十分な発電を行うためには、大量の水が必要という点です。また、降る雨の量や時期に発電量が左右されてしまいます。また先に発電・管理・維持のコストが安いことをメリットに挙げましたが、大規模な発電に必要なダムの場合は、かなり高額な建設費用がかかってしまいます。さらにダムは周辺の環境や河川の生態系に影響が出ることも懸念されていて、昨今ではなかなか新しい建設はむずかしくなっているようです。

今後が期待されるマイクロ水力発電

1950年代のオイルショック以降は火力発電が主力でしたが、再び水力発電が注目されています。注目の的は、これまでの主流であった大型のダム式と反対の「マイクロ水力発電」です。「小水力発電」とも呼ばれ、出力1,000kwh以下の水力発電のことを言うそうです。

Micro hydro-electric water intake apparatus with filter, pipe and cable sensor.

今注目されている理由は2つです。

❶水の流れがあればどこでも発電できる

❷環境への負荷が少ない

マイクロ水力発電は規模と同じく必要な水の量も少なくですみます。大きな河川でなく、小川や農業用水でも発電できるのです。新たに大きなダムを造る必要もなく、河川の流れもせき止めないので環境への負荷も低く抑えら、しかも昼夜を問わずに発電ができるので、安定した発電量が期待できます。

現時点では水利権の取得など超えるべき課題も多く、日本ではほとんど普及していませんが、すでに一部の地域で導入事例もあり地域活性に役立っているようです。今の時代にマッチした期待の大きいマイクロ水力発電ですが、さらなる発展には、地域ぐるみでの理解と協力が必要ですね。

この記事を書いた人:みちよ

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