温暖化は身近な問題だった。知らぬ間に進む日常の変化

気象庁の調査によると、世界の平均気温は100年前より0.76℃、日本では1.35℃上昇しているそうです。「なんだ、その程度か」と感じるかもしれませんし、自分には大きな影響はないから関係ないと思うかもしれません。しかしこの「わずかな」上昇が、私たちの食卓から住まい、健康、そして財布まで、暮らしのあらゆる場面に忍び寄っているのです。

※細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の30年平均値
もう”異常”とは言えない? 激化する気象災害
日本の平均気温は特に1990年代以降、その上昇傾向が加速しています。春には桜が例年より早く咲き、秋の紅葉は遅れるなど、私たちが慣れ親しんだ四季の風景が変わりつつあります。夏には連日の猛暑日に加え、局地的な豪雨が街を襲い、巨大化する台風は私たちの生活を直接脅かしています。温暖化の進行は大気中の水蒸気量を増加させ、一度の降雪が「ドカ雪」となるリスクも高めています。

もはや「異常」気象と呼べないほど、日常的なものとなりつつあるのです。
こうした気象の急激な変化は私たちの生活基盤を直撃します。
・電線の切断による停電
・道路網の寸断
・公共交通機関の運休
・物流の停止
・大規模停電
・ガス供給の停止
・断水
これらライフラインの途絶は、私たちの命に関わる深刻な事態を引き起こしかねません。
高騰する野菜、消える旬の味
温暖化がもたらす最も身近な変化は、私たちの食卓に現れています。気温の上昇は農作物の生育に大きな影響を与え、収穫量の減少や品質低下を引き起こします。2025年1月、福島県で500円、兵庫県では1000円を超えるキャベツが店頭に並び、消費者に衝撃を与えました。もはや温暖化は、私たちの「おいしい」と「家計」を直接脅かしているのです。
海の恵みにも異変が起きています。国際的な専門家組織「IPCC」は、海水温の上昇が世界の漁獲量減少の主要因の一つだと指摘しています。漁業者からは「南方の魚が網に入るようになった」という声が聞かれ、魚種の分布域の変化は漁期の短縮や漁場の縮小をもたらしています。
秋の味覚の代表格・サンマは長期的な不漁に見舞われ、2024年にはサバの漁獲量が前年比18.3%減、カツオも20%減と記録的な不漁となりました。あたりまえだった食卓が失われつつあります。

命にかかわる熱中症リスク、働く人々を襲う危機
近年の夏の暑さは、かつての常識を覆すほど過酷なものとなっています。特に深刻なのが熱中症のリスクです。業種別の熱中症発生状況(2019年~2023年)を見ると、建設業が最も多く、次いで製造業となっています。

わたしたち「やまと」には、電気工事士やメンテナンス技術者が多く在籍しています。経口補水液やネッククーラーの配布、こまめな休憩の推奨など、さまざまな対策を講じていますが、炎天下や通気性の悪い場所での作業は、想像を超える過酷さを伴います。熱中症は命に関わる深刻な問題です。この危機から逃れるためにも、温暖化対策は待ったなしの課題です。
高まる保険料、減る補償
2024年、国内大手損害保険会社による火災保険料の相次ぐ引き上げは、私たちの家計に新たな不安を投げかけました。この背景には、気候変動による自然災害の増加があります。風水害による想定以上の保険金支払いは、保険料の上昇を不可避なものとしています。

アメリカでは、ハリケーンや山火事の多発により、住宅向け保険事業から撤退する企業が相次いでいます。高騰する保険料に保険加入を諦める人々も増加。自然災害大国の日本でも、同様の事態が起こりかねません。気候変動対策を怠れば、私たちは災害への経済的な備えすら失いかねないのです。
温暖化の影響はこちらの記事もチェック誰かがやる、じゃなくて「わたしもやる」
温暖化が私たちの暮らしにもたらすリスクは、もはや看過できないほど身近なものとなっています。そして、この危機に対してわたしたち一人ひとりができることは確かに存在します。
たとえば
・移動は公共交通機関を使う
・マイカーに電気自動車を選ぶ
・家電を買うときは省エネ性能に注目する
・家を新築するときに太陽光発電や蓄電池も設置する
・環境にやさしい日用品を使う
・脱炭素に取り組む企業の製品を選ぶ
など
一つひとつは小さな行動かもしれませんが、日常で何かを選択するときにCO2削減や環境保護につながるかを気にすることで、未来は大きく変わるはずです。
今日から、できることから、ともに未来を守る行動を始めましょう。