ホーム 太陽光 鹿児島初のオフサイトPPA やまとソーラープラント細田口(1/2)

鹿児島初のオフサイトPPA やまとソーラープラント細田口(1/2)

大和電機グループが総力を挙げて取り組んだオフサイトPPAについてのお話です。企業の枠を超えて多くのスタッフが関わったプロジェクト。各部門でさまざまなことに挑戦し、無事にお披露目の日を迎えました。

・再エネ100%の経営を目指している
・事業でのCO₂排出量を抑えたい
・再生可能エネルギーを導入したいが屋根に設備を設置できない
・発電設備や蓄電池のコストが大きなハードルになっている

などのご要望や課題に対応できるモデルです。

FITに依存しない太陽光発電所を新設

2021年8月6日、大和電機グループの新しい太陽光発電所「やまとソーラープラント細田口(さいたぐち)」(以下、YSP細田口)が稼働しました。

■発電所概要
名称:やまとソーラープラント細田口
発電事業者:やまとソーラープラント株式会社
所在地:鹿児島県鹿児島市五ヶ別府町
発電量:49.5kW

通常であれば固定価格買取制度(FIT)によって20年間の発電事業を開始するところですが、ここはFITを利用していません。
またパネルやパネルを支える架台には、被災により設備の取り替えを行った発電所のパネルや架台のなかから十分な性能を有していたものをリユース品として採用しました。

オフサイトPPA

YSP細田口は、電力会社に売電するのではなく特定の需要家に直接電気を提供することを目的に、やまとソーラープラントが費用を負担して建設しました。

ここでつくられた電気は、直線距離で約6km離れた場所にある「かごしま環境未来館」へ一般送配電網(送配電線)を介して供給されます。

これは売電事業者と需要家が直接電気の売買契約を結ぶPPA(Power Purchase Agreement)の一種。そのなかの「オフサイトPPA」にあてはまります。オフサイトとは文字通り「敷地外」という意味です。発電設備を敷地内に設置できなくても、この手法であれば遠隔地から再エネ電気を直接調達することが可能です。

かんまり

オフサイトPPA、オフサイト型コーポレートPPAなどの呼び方がありますが、この記事では「オフサイトPPA」とします

ただし、現在の日本では発電事業者と需要家の間に小売電気事業者が介在しなければならないというルールがあります。そこで当グループのネクストパワーやまとが両者の間で需要と供給の管理を行っています。

上の図は資源エネルギー庁が2021年11月29日に発表した「再エネ価値取引市場について」を参考に作成した、日本で認められているオフサイトPPAの形態です。

今回の事例で言うと発電事業者がやまとソーラープラント、小売電気事業者がネクストパワーやまと、そして需要家がかごしま環境未来館となります。料金内容は契約によって異なりますので、この限りではありません。

再エネ電力をどのように証明するのか

かんまり

一般送配電網を経由すると、火力発電や水力発電、そしてほかの太陽光発電でつくられた電気と混ざってしまい、どんな電気かわからなくなるのでは?

と疑問に思うかもしれません。供給されている電気が再エネ電力であることを証明するためにわたしたちが活用したのが非化石証書です。

知る、学ぶ。「グリーン電力証書・Jクレジット・非化石証書」とは?(エネクリップ記事)

YSP細田口のように再生可能エネルギーで発電した電気には二つの価値があります。ひとつは機械を動かしたり照明をつけたりする電気そのものの価値。そしてもうひとつが発電時にCO₂を排出しないという環境価値。目に見えない環境価値を非化石証書(非FIT証書・再エネ指定)によって具現化し、電気とともに供給することで再エネ100%電力ということができます。

日照が少ない日はYSP細田口だけでは電気が足りなくなることがあります。そのような場合はネクストパワーやまとが契約している卒FIT電源の電気を投入します。こちらもFITを使用していない電気なので、非FIT証書・再エネ指定とあわせた供給が可能です。

かんまり

ネクストパワーやまとが「やまとのFIT」で買い取りした電気もここで活用されています

卒FIT後に「やまとのFIT」を選んだら(エネクリップ記事)

YSP細田口と卒FIT電源が発電しない夜間は、ネクストパワーやまとが市場や九州電力から調達した電力にFIT証書を付与し、実質再エネ100%の電力として供給します。

FIT証書と非FIT証書の違い
FIT証書:FIT対象の再生可能エネルギー電源の電気に対して発行される非化石証書。発電設備の属性情報がトラッキング(追跡)されており、電源を特定することができます。
非FIT証書:FITを利用していない非化石電源の電気に対して発行される非化石証書。CO₂を排出しない点では原子力発電もこれに含まれますが、再生可能エネルギーではないため「非FIT証書(再エネ指定)」「非FIT証書(指定無し)」に分けることで区別しています。

やまとで環境価値を取り扱うのはこれが初めて。そのうえ計画当時は非化石証書の制度の転換期で、わからないことも多くありました。長い時間をかけて調査と検討を重ね、非化石証書の導入が実現。これをきっかけに「Eneseed」というあたらしいサービスも誕生しました。

やまとの再エネ100%電力供給オプション「Eneseed」とは(エネクリップ記事)

もうひとつの挑戦(次回につづく)

YSP細田口のプロジェクトを通じて、やまとのオフサイトPPAについてご理解いただけたでしょうか。グループ内に発電事業を手掛ける企業と小売電気事業者を有していたおかげで、企業間の交渉もスムーズに進めることができました。次回はYSP細田口の設備についてご紹介します。再エネ普及とともに問題視されていた太陽電池モジュール大量廃棄の解決策を示すため、かねてより温めていた計画の実行に乗り出しました。

この記事を書いた人:かんまり

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