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IPCC第2作業部会第6次評価報告書が伝える危機

気候変動に関する政府間パネル、通称IPCCから2022年2月28日、第2作業部会第6次評価報告書が公表されました。SDGsや脱炭素の理念が身近に感じられるようになったものの、その内容は大変厳しい現状を示していました。健やかな未来のためにより気を引き締め、具体的かつ迅速なアクションが必要です。この記事では、ポイントをおさえて、できるだけわかりやすい解説を目指します。

IPCCってなに? 報告書の信頼性は?

IPCCはIntergovernmental Panel on Climate Changeの略称。日本語では「気候変動に関する政府間パネル」。1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によってつくられた気候変動を評価する主要機関です。2022年2月現在では195の国と地域が参加しています。わかりやすく言うと、「どんどん悪化する地球環境に対して、世界が一致団結して立ち向かうために必要な情報を集めて、その評価結果を提供する」ための組織です。世界の第一線で活躍する研究者や各国の政府代表が協力し合って、定期的に報告書を作成しています。このような背景から報告書は、国際的に合意された信頼性のあるものとして扱われています。

みちよ

2013〜2014年に発表された第5次評価報告書は、2015年「パリ協定」採択の科学的根拠として大きな役割を果たしています!

パリ協定についてはこちら

IPCC第2作業部会 第6次評価報告書の内容は?

まずIPCCの評価報告書には3つの作業部会があり評価する対象がことなります。それぞれが報告書を作成し、最後は3つ全部の報告書をまとめた統合報告書を作成します。

●第1作業部会(WG1)
 評価対象:自然科学的根拠
●第2作業部会(WG2)
 評価対象:影響・適応・脆弱性
●第3作業部会(WG3)
 評価対象:気候変動の緩和

2022年2月28日に公表されたものは第2作業部会の報告書と政策決定者向け要約(SPM)。第1作業部会報告書は2021年8月にすでに公表され、第3作業部会報告書は2022年4月に公表予定です。報告書はものすごいボリュームなので、今回はSPMを参考にしました。以下はみちよなりに理解し、かみくだきまとめたものになります(きちんと知りたいと言う方はコチラをお読みください)。

Point1.観測された影響と予測されるリスク

●人間が出したCO2などが原因の気候変動は、自然と人間に対してすでに広範囲にわたる悪影響がある
●地球温暖化は短期のうちに1.5℃に達し生態系と人間に複数のリスクをもたらす

●2040年より先、気候変動は自然と人間のシステムに数多くのリスクがもたらす。127の主要なリスクが特定されていて、地球温暖化とともにさらに拡大する

Point2.適応策と可能にする条件

●気候変動の悪影響を軽減する適応策はあるが、失敗も多く、限界に達しそう
●政策・制度・知識・財政など包括的な取り組みが必須

みちよ

「適応」は、CO2排出抑制努力を行なっても悪影響が避けられない場合、その被害を少しでも軽くすること。熱中症予防や高温でも育つ農作物の品種改良も適応のひとつ。

Point3.気候にレジリエントな開発

●第5次評価報告書の評価より更にレジリエントな開発の緊急性が高まった
●気候変動が既に人間と自然のシステムを破壊していることは疑う余地がない。次の10年でCO2排出量の急速な減少がなければ、実現は難しい

みちよ

レジリエント(resilient)は弾力性がある、回復力があるの意。ここでは気候変動という危機的状況から立ち直ることと理解しています。

報告書から見えたこと。できること。

IPCC第2作業部会 第6次評価報告書からは、危機的な状況にある地球の今と、何もしなければより悲惨な未来が見えてきました。やらなければならないことはこれまでと変わりませんが、現状をより深く理解することが重要です。一人ひとりが強い気持ちで気候変動を止めるためのアクションをおこすことが、周囲とひいては世界を変えることにつながります。

今すぐ実践できる気候変動を止めるためのアクション

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この記事を書いた人:みちよ

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