ホーム やまとの電気 電力不足で市場価格が高騰。いったい何が起こったのか?(1/2)

電力不足で市場価格が高騰。
いったい何が起こったのか?(1/2)

電力が不足している。電気の価格が高騰している。2021年が始まりしばらくたった頃、一部の報道やSNSに挙がったこれらの声に不安を感じた方は少なくないでしょう。いったい何が起きているのか、2021年1月中旬時点の状況をまとめます。(全2回)

電気の市場価格が10倍になった

2020年12月末、全国の小売電気事業者が電気の市場価格の動向に注目していました。2019年の同時期と比べて約2倍の値を付ける日が続いたからです。
2021年に入るといっそう高値に。前年同月の10倍という異常な価格です。

    JEPX「スポット市場取引結果」データをもとに筆者作成

電力市場価格=JEPXで取引される電気の価格

今回の騒動で日本卸電力取引所(以下、JEPX)を知った人は多いのではないでしょうか。JEPXは、電気の売り手と買い手が取引を行う日本唯一の市場です。
売り手は発電を行う事業者、買い手は家庭や企業に電気を供給する小売電気事業者です。

かんまり

やまとも小売電気事業者です

需要と供給のバランスによって価格が上下するのは一般的な市場と同じで、価格の高騰は供給量を上回るほどの需要があることを表します。多くの小売電気事業者がこの市場を利用して電気を仕入れており、今回、仕入れ値が急激に高くなってしまいました。やまととしても、まったく歓迎できない状況です。

需要≧供給はなぜ起きたのか

電気の需要と供給の基本的ルール

電気は基本的にためることができないため、発電と消費が同時に行われています。さらに供給が大きすぎても(電気が余る)、逆に需要が大きすぎても(電気が足りない)、最悪の場合、大規模停電が起こる可能性があります。電力会社は予測される需要に応じた発電計画を立てて、発電量と消費量を一致させているのです。

この冬は需要と供給の両方に電力不足を招く要因がありました。

日本各地を襲った厳しい寒波

要因のひとつは、年末から年明けにかけての寒波で、暖房の電力需要が全国的に高まったことです。めったに雪の降らないここ鹿児島でも、うっすらと雪が積もりました。新型コロナの影響を受けて自宅で過ごす人が多かったことも関係していると思います。

燃料不足による供給力低下

そして最大の要因と言われているのが、火力発電の燃料となる液化天然ガス(以下、LNG)の不足です。需要が増えたにも関わらず、日本の発電量の約4割を担うLNG火力がいつも通りに稼働できず、供給力が大幅に低下してしまったのです。

   日本の発電電力量の構成:経済産業省資源エネルギー庁「令和元年度エネルギー需給実績(速報)(令和2年11月18日公表)」をもとに筆者作成
かんまり

LNG火力は、石炭や石油と比較して発電時の窒素酸化物や二酸化炭素の発生が少ない発電方法です

LNG不足は、さまざまな状況が重なったことで深刻度が増したと言われています。

LNG不足の要因と言われているもの
・中国、韓国のLNG輸入量の増加
・LNG生産設備のトラブル
・新型コロナの影響でパナマ運河の通関手続きに遅延発生

LNGを追加確保するまでには1~2カ月を要するため、しばらくは気を抜けません。

総力を挙げて電力不足に対応

発電事業者はフルパワーで発電を行ったり、停止していた火力発電所(石炭や石油)を投入したり、この事態を乗り越えようとさまざまな策を講じました。

その甲斐あってなんとか供給量を確保しているものの、供給量に対する需要ピーク時の予想使用率が95%を超える日が各地で続出します(参考までに、東京電力パワーグリッドが発表した昨年1月10日の使用率最大時の実績は84%)。

この厳しい需給状況を受け、ついに九州電力や東京電力ホールディングスが属する電気事業連合会と、一般送配電事業者各社は節電の協力を呼びかけるリリースを公表。暖房の使用は継続しつつ、日常生活に支障のない範囲で、また健康を損なわない範囲での、消費者の協力をお願いしました。やまとでも同様の呼びかけを行いました。

かんまり

みなさまのご協力、ありがとうございます

気になるあの問題、次回に続く。

この呼びかけに応える一方で、誰もが気になったのではないでしょうか。

かんまり

電気代はどうなるの?

次回は、市場価格高騰で電気代はどうなるのかを説明します。

この記事を書いた人:かんまり

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