ホーム その他 日本出身・真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞!『地球温暖化』を予測する気候モデルとは?

日本出身・真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞!『地球温暖化』を予測する気候モデルとは?

2021年のノーベル物理学賞を日本出身の真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さんら3名が受賞しました。日本人がノーベル賞を受賞するのはアメリカ国籍を取得した人も含めて28人目、物理学賞では12人目になります。授賞理由は「地球温暖化を確実に予測する気候モデルの開発」とあります。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が気候に与える影響を明らかにし、現在の脱炭素をめぐる議論の発端となったとも言われています。SDGsへの関心の高まる中、さらにこのうれしいニュースで、より一層関心が高まる「地球温暖化」について考えてみました。

真鍋さんが開発した「気候モデル」とは?

「気候モデル」とは、コンピュータの中に仮想地球を作り、気候をシミュレーションする技術のことを言うそうです。みちよは、てっきりこれまでの膨大な過去の観測データを基に緻密な計算で作りあげられた型と予想していましたが、どうやらハズレ。コンピュータにインプットするのは過去のデータではなく、地球のサイズや回転、陸と海の分布、大気の成分、太陽からのエネルギーの量、といった地球の基本的な特徴だけなのだとか。これらのデータを基に物理法則を計算し、現実的な「気候」が再現されるというのです。今考えてもすごい技術。真鍋さんは50年以上も前の1967年に、世界で初めて大型コンピュータを活用して大気の運動と気温との関係を定めるモデルを開発したというから驚きです。真鍋さんは「CO2が2倍に増えると地上気温が2・36度上昇する」と予測し、世界に先駆けて発表。CO2が気候変動に重要な役割を果たしていることを示し、世界中で温暖化研究が進むきっかけをつくりました。

「気候モデル」の何がすごい?

真っ先に上がるすごいポイントは、先述の通り温暖化の仕組みを明らかにしたこと。今では当たり前の温暖化の原因のひとつがCO2という常識は、真鍋さんが築きました。
もちろんこれだけでなく、私たちの身近な暮らしにも真鍋さんの研究成果が役立っています。それが「長期予報」です。気象庁から発表される一カ月予報というものがありますが、気温が平年と比べて高いか低いか、今年の冬が寒いか暖冬か、などの季節の予報。それに台風の強度などの予報のこと。真鍋さんの研究は温暖化のこの先十年二十年という地球規模の大予報だけでなく、身近な天気予報のベースにもなっていました。

地球温暖化がもたらす未来。2100年の最高気温は40℃!?

真鍋さんは、地球温暖化が進行すると洪水や干ばつが増えることを、1980年代にはすでに示していました。過去の警告は、いま現実のものになりつつあります。IPCC第5次評価報告書では、気候システムの温暖化は疑う余地がなく、人間による影響が近年の温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高いこと(95%以上)が明言されました。20世紀末頃(1986年~2005年)と比べて、有効な温暖化対策をとらなかった場合、21世紀末(2081年~2100年)の世界の平均気温は、2.6~4.8℃上昇、厳しい対策をとった場合でも0.3~1.7℃上昇、平均海面水位は最大82cm上昇する可能性が高いと予測しています。2019年に環境省が公開した「2100年 未来の天気予報(新作版)」では、夏の東京の最高気温は43.3度、冬でも26度の夏日など、恐ろしい状況が描かれています。

今回の日本出身者のノーベル賞受賞ニュースを、ただの朗報と通り過ぎるのではなく、地球温暖化を考えるきっかけにしたいですね。地球温暖化への危機意識をみんなで共有し、一人ひとりが正しく理解し、今できることを行動に移せれば、子どもたちやその孫たちの未来を守ることができるはずです。

みちよ

地球温暖化への理解には「パリ協定」「カーボンニュートラル」が外せません。ぜひこちらの記事も参考にどうぞ!

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この記事を書いた人:みちよ

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